取引書類管理

スキャナ保存を見据えた電子帳簿保存法の改正に対応するシステム検討の3つのポイント

2022年1月1日に施行される改正電子帳簿保存法により、電子データで受領した証憑書類(国税関係書類、取引関係書類などと呼ばれる見積書、注文書、領収書など取引に関わる書類)の書面(紙)保存は廃止され、電子データで保存することが必須となりました。

先ずは電子データで受領した証憑書類が電子帳簿保存法対応できるように環境を整え、その後ペーパレス化に向け紙で受領した証憑書類のスキャナ保存を視野に入れている会社も多いのではないでしょうか。

その場合、電子データで受領した証憑書類が電子帳簿保存法対応のために導入したシステムが、スキャナ保存には対応できなかったなどということがないよう、あらかじめ機能を確認し、スキャナ保存可能なシステムを選定することをお勧めします。

そこで、今回は紙で受領した証憑書類のスキャナ保存に関する改正電子帳簿保存法の要件と、検討の進め方について解説いたします。

電子帳簿保存法の電子取引データの保管要件

先ずは電子帳簿保存法の電子取引データの保存要件について整理しました。

電子取引データへの措置要件(どれか一つを満たす必要あり)

タイムスタンプ付与データ授受 送信者側においてタイムスタンプが付与された取引データを授受する措置です。この場合、送受信者双方においてタイムスタンプの検証および一括検証機能が必要です。
電子取引データ授受後タイムスタンプ付与 送信者側および受信者側において、データの授受後、当該取引データに、業務サイクル後速やかに(約67日以内)にタイムスタンプを付与し、保存担当者などの情報を確認することができるようにしておく。
この場合、タイムスタンプの検証および一括検証機能が必要です。
訂正削除不可等のシステムを利用して電子取引データを授受および保存 電子取引データの訂正および削除できないシステム、又は取引データを訂正又は削除を行った場合の事実および内容を確認することができるシステムで授受および保存する。
正当な理由がない訂正および削除の防止に関する事務処理規程の備付けおよび運用 電子取引データについて、正当な理由がない訂正および削除の防止に関する事務処理の規程を定め、当該規程に沿った運用を行う措置。

電子取引データへの措置要件については「訂正および削除の防止に関する事務処理規程の備付けおよび運用」を選択することが現実的ですが、不正抑止など内部統制の強化を考慮すると「訂正削除不可等のシステムを利用して電子取引データを授受および保存」にて対応できることが望ましいと言えます。

保存要件(すべてを満たす必要あり)

関係書類の備付け 電子取引データの授受システムなどのシステムの概要書やデータを出力するための操作マニュアルなどを備え付けておきます。
見読性の確保 14インチ以上のディスプレイのあるPC、プリンタに整然とした形式で明瞭な状態で出力できる機器を準備します。
検索要件 電子取引データを「取引年月日その他の日付」、「取引金額」、「取引先」の3項目で検索ができることが必要です。
検索に当たっては、日付や金額は範囲指定ができること、取引先名称も含め2以上の項目で複合条件設定ができ検索結果を速やかに表示できることが必要です。
なお、日付や金額の範囲指定や複合検索設定ができない場合には、検索項目をダウンロードすることにより代替できます。

電子取引データへの措置要件と保存要件を満たせばよいため、ハードルは低いと言えます。
なお、電子データの受け取り方別の保存方法についてはこちらの記事でご紹介しています。

後述のスキャナ保存の要件の方が比較的ハードルが高いため、スキャナ保存を考慮したシステム利用・運用を検討していく必要があります。

国税関係書類のスキャナ保存に関する要件

続いて、2022年1月以降のスキャナ保存の要件について整理しました。スキャナ保存を行う場合にはいくつかの要件や確認すべき情報があります。また、スキャナ保存の要件は国税関係書類の重要度によって対応が変わりますので、スキャナ保存に当たっては書類の重要度に応じて重要書類と一般書類のいずれに該当するか確認が必要です。

スキャナ保存を行う上で確認すべき要件

  • 国税関係書類の重要度
  • スキャナに関する要件
  • 保存システムの要件
  • 入力方法に関する要件
  • 備え付ける書類の要件

国税関係書類の重要度

書類の名称・内容 スキャナ保存の制度対象 対象
国税関係帳簿書類 国税関係帳簿 仕訳帳・総勘定元帳など
国税関係書類 貸借対照表、損益計算書、棚卸表などの決算関係書類
重要度…高 重要書類 契約書・領収書およびこれらの写し 保存の開始日以後電子データで保存する書類
なお、2019年(令和元年)9月30日以後、所定の手続きを踏むことで過去の書類についてもスキャナ保存の対象にできるよう改正されました。
重要度…中 預金通帳、請求書、納品書、送り状など
重要度…低 一般書類 見積書、注文書、検収書など 過去に作成又は受領した書類についてもスキャナ保存

スキャナに関する要件

スキャナに関する要件 国税関係書類の重要度
高~中
スキャン機器 スキャナ、デジタルカメラ、スマートフォンなど、一定水準以上の解像度およびカラー画像による読み取りができるもの
解像度 200dpi相当以上であること
※カメラの場合は387万画素以上であること
階調 赤・緑・青の階調がそれぞれ256階調以上(24ビットカラー)であること 重要度が低い書類は白黒階調(いわゆるグレースケール)も可能

保存システムの要件

システムの要件 国税関係書類の重要度
高~中
タイムスタンプ ・書類毎にタイムスタンプ(認定タイムスタンプ)を付与する
・改ざんされていないことが検証(一括検証)できること
※訂正または削除の履歴が残るシステムで保存する方法により、入力期限内に入力されていることが確認できるなど、一定の要件を満たすことでタイムスタンプ付与が不要になる場合があります。
バージョン管理 書類の電子データについて訂正又は削除した場合には、これらの事実および内容を確認できること
帳簿との相互関連性の確保 書類に関連する帳簿との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと。
例えば仕訳情報から書類データが特定できるなど
読取情報の保存 読み取った際の解像度、階調および当該書類の大きさに関する情報を保存すること
※書類の受領者がスキャニングする場合で、書類の大きさがA4以下であるときは、大きさに関する情報の保存は不要
重要度の低い書類はサイズに関する情報は不要
入力者情報の確認 書類のスキャニングを行う者または、その者を監督する者に関する情報を確認できるようにしておくこと
見読可能装置の備付 14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等 重要度の低い書類は白黒も可
検索機能の確保 取引年月日(範囲指定)、取引金額(範囲指定)、取引先で検索ができること。
複合条件設定ができること。
検索結果が速やかに表示されること。
※範囲指定、複合検索についてはダウンロード対応も可

入力方法に関する要件

経理方法に関する要件 国税関係書類の重要度
高~中
早期入力方式 国税関係書類の受領後、概ね7営業日以内に電子データを作成する 適時に電子データを作成
業務サイクル方式 業務サイクル後速やかに(国税関係書類の受領後、概ね約67日以内)入力する方式

備え付ける書類の要件

経理方法に関する要件 国税関係書類の重要度
高~中
システム関係 電子計算機処理システムの概要を記載した書類、そのシステムの開発に際して作成した書類、操作説明書
事務手続き関係 電子計算処理並びに電子データの備付け及び保存に関する事務手続きを明らかにした書類

2022年1月の電子帳簿保存法の改正後は適正事務処理要件の廃止、書類への自署の廃止、所轄税務署長の承認制度の廃止など要件が緩和され、これまでよりも利用しやすくなりました。
ただし、時刻証明(タイムスタンプ付与またはタイムスタンプ不要の要件に合致)などを考慮すると文書管理システムや証憑管理システムの利用が必要となるため、きちんと管理環境を整えておく必要があります。

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スキャナ保存システムの検討ポイント

スキャナ保存を見据えた取引データの電子保存環境を整える上で、スキャナ保存の要件を満たせるシステムを選定することが前提となりますが、加えてどのようなポイントに気を付けながら保存システムの検討を進めればよいかも合わせて解説いたします。

(1)JIIMA認証が取得されているか

JIIMA(公益財団法人日本文書情報マネジメント協会)が行っている電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証制度にて認証を受けている製品・サービスであれば、スキャナ保存のシステムにおける基本的要件を満たしていることが国税庁からも認められています。そのため、まずはJIIMA認証が取得されている(または取得予定)サービスであるかを確認するとよいでしょう。
ただし、JIIMA認証が取得されていない製品・サービスであっても問題なく保存できることもあります。

(2)業務にあわせてスキャナ連携ができるか

スキャナ保存を行う際に、会計担当や入力担当に紙の国税関係書類が集まってくることが予想されます。その際、業務の効率化を考えると専用のスキャナを用意して、自席でスキャンと基本情報入力を完結できることが望ましいといえます。システムからスキャン処理を実行することで、即時ファイルの添付を行うことができれば効率的に業務を行うことができますので、スキャン時の業務効率化が可能なシステムであるか確認するとよいでしょう。

(3)長期保存可能な環境か

データは少なくとも7年間は保存しておく必要があります。そのため、7年間保存する間に考えられるデータ消失のリスクを低減できる機能を有しているかを確認するとよいでしょう。

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